事例に学ぶ

重大事故

水難事故

1999年神奈川県玄倉川で起きた事故は、その犠牲者の多さや救助活動中からの報道など社会的注目度の高さから大変有名な事故です。中州でキャンプをしていた18名が増水した川に流され子ども4名を含む男女13名が亡くなりました。その後、キャンプでの安全意識向上や気象庁が気象用語変更を行うなど社会的教訓として語り継げられることになりました。

 

しかし毎年水難死亡事故は発生し続けています。川だけでなく海や湖や池やクリークでの事故。その中には対策や注意を怠らなければ防げたものが少なくありません。水辺での活動は一旦事故が起きるとすぐに死亡という過酷な結果につながりやすい場所であるという認識を忘れてはなりません。

水辺での活動予定がある場合はぜひライフジャケットを用意することをお勧めします。

 

雪崩事故

2017年栃木県那須町で起きた事故は、高校生7名と教員の計8名が亡くなるという重大な結果と安全講習会中というあってはならない状況下での事故で人々の記憶に残る事例です。

 

2月3月の春先に起こる例が非常に多く、急な積雪の後は危険度が高い。またスキーやスノーボードでは開放されたゲレンデでの事故例はほとんどなく、立ち入り禁止にした区画に入り雪崩に巻き込まれた事例やバックカントリーなど非正規のコースでの事故例が多い。

 

福岡県内でこの事故を聞いた事はありませんが全国では毎年のように犠牲者が出ています。雪に慣れていない九州人にとって見過ごしがちな危険ですが水難事故同様に事故に巻き込まれると重大な結果になることが多く避けなければならない事故です。

 

一酸化炭素中毒事故

意外かもしれませんがこれも毎年のように起きる重大事故です。初心者ではなく経験豊富な方が起こすことが多い事例です。

今年2021年1月にも千葉県で猟に出かけた50代から70代の男性3人がテントの中で亡くなっていたのが発見された例があります。

冬季に暖房器具を使って屋外で生活することは初心者にはあまりないことでしょう。しかしベテランでもその危険に巻き込まれてしまうのにはいくつか理由があるのです。過去に何度も成功体験があったり、睡眠中の事故である場合が多かったり、巻き込まれると意識を失ったり正常な判断ができなかったり、事故が起こると自分ではどうしようもないことが多いのです。昔のテントと違って今のテントは気密性が高く空気がとどまりやすくなっています。基本換気の悪いテントの中でストーブをつけるのはご法度で、もし換気をしながらストーブを炊くならば一酸化炭素チェッカーを備えておくことが必須です。また最近の2ルームテントなどではテント外で炭火を焚いていての事故例があります。一酸化炭素は空気より軽く流れていき、行き止まり(テント)などで溜まってしまう性質があります。炭火は管理されていないと煙も匂いもなく一酸化炭素を発生してしまう場合があります。テント内の換気や火の管理や風向きなど事故防止策は簡単なのですが忘れてしまいがちです。火を使う際は必ず考えておかなければならないことのひとつです。

 

ミスコース(迷子) 行方不明

重大事故とはならない場合も多いですが非常によくある事故のひとつです。その中で残念ながら悪い結果となることが低確率ながらあります。2019年山梨県のキャンプ場で行方不明になった当時9歳の女の子は2022年骨の一部が見つかり本人のものと確認されました。親としては当時の判断(一人で行動させた)が悔やんでも悔やみきれないと思います。親の気持ちになって考えると胸がはちきれそうに痛くなります。

ほかにも迷子や遭難といった事故は数多くあります。対策としてはいくつか基本的なことがありますがここまですれば完ぺきという事はなく、どこまで対策してどこまでリスクを減らすかをよく考えることが大事です。

 

基本子どもから目を離してはいけないのですがひと時も目を離さないというのは現実にはありえないと思います。そこで我々が行っている具体的対策を参考にしていただければと思います。

キャンプ全体の活動で”環境整備”などと題した活動を最初と最後に行います。それは来た時の環境に帰るときに戻すために始めの状態を子どもたちに確認させるという意味もありますが、それとともに活動場所(テントの設営場所・トイレや本部の場所)の位置関係・使用方法・活動範囲の確認をする意味もあります。活動を行う前に子どもたちに必ず注意事項を確認します。「活動範囲を超えない、一人行動をしない、はぐれて場所を見失ったら極力移動しない、困ったことがあれば(トイレや体調不良やケンカなど)すぐにスタッフに相談」などといったことを注意しています。移動時・活動前後には人数確認(点呼)持ち物・服装・体調チェックを行います。場合によってはエマージェンシーグッズ(ケミライト・ホイッスルなど)を持たせます。

こういったことをレジャーキャンプやファミリ―キャンプにすべて落としこむのは難しいでしょうが参考になればと思います。なによりも安全が一番大事であるという事をキャンパー全員に意識してもらうことが重要だと思います。