キャンプの基本

キャンプとは

簡便な装備を用い自然に近い野外で一時的に生活・活動することです。(宿泊を共わなかったり、宿泊しても屋外テントであったり施設屋内であったりする)(人数も一人から大きな団体まで)

一般的には、自然との交わりの中で非日常体験を行うことによる感動・学び・人とのコミュニケーションなどを楽しむことが目的になると思います。

目的・安全・マナー

目的と安全はセットで考えるといいでしょう。

安全だけを考えるならば何も行動しない方がいいのです。でも当然何かを楽しむために人は行動します。目的をしっかり持っていれば何がダメで何がよいのかルールが作れます。非日常体験なのでいつもとは違ったルールが必要になることもあります。そのルールに沿って安全管理を行うことができます。たとえファミリーのレクリエーションであっても全体の目的やその時その時の目的があります。それによって作られたルールをみんなで共有して確認し合うことが大切です。特に子どもたちには理由のないルールは無視されます。必ず理由とともにルールを説明し納得してもらう必要があります。人がたくさんいる場所では一人行動しないなど作ったルールをお互いが納得し順守するようにしましょう。

安全が確保できたならば周りの人や自然にも配慮する必要があります。夜遅くに大声で騒いだり、ごみを捨てたり、地面で直火を炊くなど、周りの人や後に訪れる人に迷惑でないか自然に対する影響はどうか十分に考えるべきです。

キャンプを楽しむための基本的な考え方

1)元通り

何を行うにも元の通りに戻れるか考えることが大事です。

人類で初めて月に降り立ったニール・アームストロングさんが月でまず一番初めに行ったことをご存じですか?あの有名なセリフを語る前に行ったことです。それは宇宙船のラダー(はしご)に飛びもどることでした。宇宙船に戻れるかどうか試したのです。まだ宇宙船に一人残っている状態で試さなくては意味がありませんからね。元に戻れることを確認したのちに二人とも月面に降り任務を開始しました。

キャンプでも同じことが言えます。キャンプに限らず初めて行うことは「元に戻せるか」が重要です。安全においてもマナーにおいてもそれはとても大事なことです。例えば火をつけるのならばそれを安全に消すことができるか考えるべきです。大きな火をつけるのならばそれを安全に消すことができるそれなりの消火の仕組みが必要になります。残った燃料の処理も考えておかなければなりません。それがガスカートリッジならば器具から外してキャップをして持ち帰ればいいので簡単です。液体燃料ならば元の携行缶などに入れ持ち帰ります。薪や炭であれば燃えカスを火消壺に入れ持ち帰るか、その場所の指定処分場所があれば十分に火を消した後にそこに置きます。燃料をどこかに捨てたり燃えカスを地中に埋めたりしてはいけません。燃料や燃えカスは簡単には自然に帰りません。むしろ生態系に影響し自然を壊してしまうことになりかねません。

ほかにもテント設営、食事、焚火、その他の遊び(花火、散策、自然採取)、排せつ、ごみ処理など。

キャンプでは元に戻せるか考えるべきことがたくさんあります。でもそれがSDG'sにつながります。体験を交えて考えることができるので心の深くに残り良い経験になります。

2)事前準備

目的に応じて下見や問い合わせやシミュレーション、装備表、器具の点検を行うことが必要です。

教育目的のキャンプでは下見は欠かせませんが、ファミリーキャンプなどでも目的地をネットで調べたり現地に問い合わせたりすることでしょう。それは大変懸命なことです。今から行うことを頭の中でイメージしておくことが重要です。

我々もレジャーキャンプでは装備表を作らず行ってしまうことがあるのですがそういう時ほど忘れ物をしたりイタイ思いをすることがあります。そのたび装備表の重要性を思い知らされます。行くときだけでなく持ち帰り忘れの確認にもなります。

器具の点検も重要でいざ使う時に”ダメじゃん!”とならないために確認が必要です。新品だからいいだろうという考えも危険です。使い方がわからなかったり、不慣れの為に現地で手間がかかったりといったことがあります。 

事前準備さえしっかりできていればキャンプは半分成功したようなものです。

3)みんな楽しく

ソロキャンプであれ完ソロであれ私たちは社会の中で暮らしています。”私”がして楽しかったのならば”次の人”も楽しめるような配慮が必要です。ましてファミリ―キャンプや周りに他の人がいる環境では私たちだけが楽しめばよいという感情は控えなくてはなりません。周りの人が嫌な思いをしてないか思いやりをみんなが持てばみんな楽しくキャンプができます。

こんな経験があります。ファミリ―キャンプでペルセウス座流星群&登山を楽しもうと一般のキャンプ場に泊まりました。キャンプ場は日が落ちて暗くなっても花火をしたり子どもが大声を出したり音楽を大きな音で鳴らしたりかなりにぎわっていました。それでも23時ごろにはある程度みんな静かに落ち着いていました。そこに夜中から入ってきた小団体が夜半を過ぎて何やら準備を始めました。かなりの天体観測機材をセットし始めたのです。メインの照明をつけ手元ライトをチラチラさせガチャガチャと大きな物音、そして無秩序な観測会が70代の講師らしき人物を中心に始まり天体の話や機材の話やあちこちで人の声が遠慮なくキャンプ場に響いていました。1時を過ぎても天体のウンチクが語られたり食べ物を勧め合ったりと結構な物音が途切れません。業を煮やした他のキャンパーがクレームを伝えると、返答は”こんな素晴らしい星空を見ないのはもったいない、目くじら立てずにあなたも一緒に流れ星を見ませんか?”といった具合でした。それでもその後、周りの状況を察したのか霧が立ち込め観測できなくなったのかガチャガチャと遠慮がちに器材を片付けていました。自分たちが楽しんでいるときほど、楽しくないなぁ、いやだなぁと思う人が周りにいないか、最低限の気配りをし、みんなが楽しいと思えるキャンプをしましょう! 

4)安全 (予測・防止・対処法)

想像がつく危険なこと、それを考えること、それを防ぐ対策とそれが起きた時に対処する手立ても考えることができます。

例えば野外調理をするならば、火や刃物による怪我が考えられます。火傷や切り傷を負わない対策と怪我したときに治療する手立てを準備しておきます。皮手袋や綿の軍手を使ったり小さな保冷剤や氷を準備しておいたり絆創膏などファーストエイドキットを用意しておく必要があります。また火のそばを走らないとか刃物を所定の場所から持ち出さないなどのルールを決めメンバーで共有しておくことが安全につながります。

キャンプ初心者には想像がつきにくい危険なこともキャンプにはあります。過去の重大事故例を知ることは安全への備えにつながります。”川の中州に活動拠点を作らない” とか ”水辺の活動では子どもから目を離さない” とか ”雷鳴が聞こえたら建物に避難する” とか ”慣れない場所では子どもに一人行動させない” などは過去の事例から学べることです。

安全管理を高いレベルで行うことは初心者には難しく逆にそれができれば上級者と言えるでしょう。

初心者のうちはハイレベルなリスクを避け、多くの人の管理を請け負わないようにしましょう。

上級者になるためにはたくさんの経験と知識が必要です。キャンプ指導者講習を受けることがその近道かもしれません。